鳩よけコラム
アパートやマンションのベランダは、鳩による被害が集中しやすい場所の一つです。
鳩は巣や寝床への執着が強く、追い払っても何度も戻ってくるという困った習性を持っています。鳩よけ対策を行っても効果が出ず、鳩のフンによる被害や鳴き声の騒音にお悩みの方もいるでしょう。
鳩による被害は、初期・中期・後期の3つの段階に分類できます。鳩がベランダで巣作りを始める段階になると、自力での対策が難しくなるため、「鳩による被害はどのレベルか」「専門業者に鳩よけ対策を依頼すべきか」を判断することが大切です。
本記事では、ベランダに鳩が寄ってくる理由や、効果的な鳩よけ対策のポイント、おすすめの鳩よけグッズについて解説します。
市街地でよく見かける鳩は、主にドバト(カワラバト)とキジバトの2種類です。こうした鳩は優れた帰巣本能を持っています。鳩を追い払っても繰り返し戻ってくるのは、遠く離れた場所からでも寝床や巣を見つけられる帰巣本能によるものです。
特にベランダは外敵の多い地上から距離があり、雨風もしのげることから、鳩が住み着きやすい場所になっています。
しかし同じアパートやマンションでも、鳩が寄ってくるベランダとそうでないベランダがあります。鳩が特定のベランダに住み着く理由は、「鳩が好む条件がそろっているから」です。
ここでは、鳩がベランダに寄ってくる原因を4つ紹介します。
1つ目は、ベランダに人の出入りが少ないケースです。
鳩は人気がなく、安心して休める場所を好みます。そのため、空き部屋のベランダや、居住者がいてもめったに姿を現さないベランダは、鳩にとって格好の住み家の一つです。
学生や社会人など、朝から夕方まで家にいないことが多い場合は、日中に鳩が侵入し、住み着き始めるケースもあります。
2つ目は、ベランダが物置き場になっているケースです。
市街地で見られる鳩の中でも、ドバトは外敵から身を守るため、薄暗く、ジメジメした場所を好むという習性があります。特に物が散らかっていたり、床に水たまりがあったりするベランダは、ドバトが好む環境です。
ベランダにやってくる鳩のほとんどは、ドバトだと言われています。日ごろからベランダを整理整頓する習慣を付けるだけでも、鳩による被害を防止できます。
3つ目は、ベランダに身を隠せる場所が複数あるケースです。
鳩は外敵から身を隠せるような狭い隙間やスペースを好みます。室外機の裏やプランターの影など、ちょっとした隙間でも鳩が侵入し、巣作りを行う可能性があります。
ベランダの死角になっている場所を減らし、隅々まで見通せる状態に保つことが、効果的な鳩よけ対策のポイントです。
4つ目は、以前に巣があったケースです。
前述のとおり、鳩は巣や寝床への執着が強い生き物です。自分が入居する前に鳩がベランダで巣を作っており、繁殖期に再び戻ってくるケースも考えられます。
不安な方は、入居する前に物件の管理会社に問い合わせ、鳩による被害は以前になかったか、巣は見つかっていないかなどを聞いておくとよいでしょう。
ベランダにやってくる鳩を放置していると、フンが原因となる悪臭や害虫の発生、鳴き声による騒音被害など、さまざまな被害につながります。鳩よけ対策を行うときは、まずベランダの状況を確認し、現在の被害レベルを把握しましょう。
鳩による被害レベルは、鳩がどの程度ベランダに滞在しているか、巣作りなどの活動を行っているかなどの観点によって、初期・中期・後期の3つの段階に分類できます。
被害レベル | 被害状況 | |
初期 | 休憩鳩 | 明るい時間帯に鳩がベランダの手すりなどにやってくる 滞在時間は短く、騒音やフンによる軽い被害が発生している |
待機鳩 | 鳩がベランダを安全な場所だと認識し、中まで入ってくる 滞在時間が伸び、鳩の仲間が現れるようになる 以前よりも騒音やフンによる被害が増えている | |
中期 | ねぐら鳩 | 明るい時間帯だけでなく、夕方や夜も鳩が居着いている 早朝や夜間の騒音被害が発生し、フンも大量に見つかる |
後期 | 巣作り鳩 | 鳩が完全に住み着き、ベランダで巣作りを始めている 帰巣本能が働き、追い払っても何度も飛来してくる 鳩が作った巣に卵やヒナがいる 騒音やフンによる被害に四六時中悩まされ、近隣住民から苦情も入っている |
被害レベル【初期】
休憩鳩
待機鳩
被害レベル【中期】
ねぐら鳩
被害レベル【後期】
巣作り鳩
ここでは、鳩よけ対策のポイントを被害レベル別に紹介します。
鳩をベランダの手すりなどで見かける場合は、これ以上鳩に侵入させないことが対策の基本になってきます。
鳩は学習能力が高い生き物です。一度ベランダを安全な場所だと認識すると、しつこく飛来し、ベランダの中にまで入ってくる可能性もあります。
鳩の侵入を防ぐには、鳩に「安全な場所ではない」と思わせるような対策が必要です。例えば、忌避剤で鳩が嫌がる匂いを吹き付けたり、テグスやワイヤーを設置して手すりにとまりにくくしたりすることで、効果的な侵入防止対策につながります。
鳩がベランダの中にまで入ってくる場合は、鳩が居着きにくくすることが対策のポイントです。
一例として、効果が持続するジェルタイプの忌避剤を利用する方法や、鳩がよくやってくる場所(室外機の裏など)に、スパイク(鳩用剣山)を設置する方法などがあります。
しかし、鳩が長時間ベランダに居着いている場合は、市販の鳩よけ対策グッズでは効果が得られないことも多く、専門業者に相談することをおすすめします。
鳩がベランダで営巣している場合は、自力での対策は難しくなります。特に鳩が作った巣に卵やヒナがいると、鳥獣保護管理法によって保護されるため、許可(捕獲許可証)のない方は巣を撤去できなくなります(※)。
被害レベルが後期に達している場合は、鳩よけ対策の専門業者に相談し、徹底した侵入防止対策・再飛来防止対策を実施しましょう。ほとんどの事業者は、現地調査を無料で行っているため、見積もりの段階で費用が発生することはありません。
※ 農林水産省「鳥獣保護管理法」p5
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/manyuaru/attach/pdf/manual-28.pdf
鳩よけ対策の中には、ほとんど効果がないものや、科学的根拠のないものもあります。ここでは、避けたほうがよい鳩よけ対策を3つ紹介します。
1つ目は、キラキラしたCDや目玉風船、天敵の姿を模した擬似鳥など、鳩を視覚的に怖がらせるものをベランダに設置する方法です。
こうした方法は、鳩よけ対策として古くから知られています。しかし、鳩を一時的に驚かせる効果はあっても、居着きにくくする効果はほとんどありません。すぐに慣れてしまい、時間が経つと再び鳩がやってくるようになります。
鳩が飛来するごく初期の段階では有効ですが、継続して鳩の侵入を防ぎたい場合は別の対策が必要になります。
2つ目は、ベランダに強力な磁石を設置する方法です。
鳩は体内に磁気を検知するセンサーを持っていると言われています(※)。鳩が遠く離れた場所から巣に帰ってこれるのは、この磁気センサーを活用し、優れた方向感覚を発揮するからです。
そのため、鳩よけ対策グッズの中には、磁力によって鳩の方向感覚を狂わせ、ベランダに近づかせないことを意図した製品もあります。
しかし、鳩によって効果に個体差があるため、抜本的な鳩よけ対策にはつながりません。磁石を設置するよりも、鳩が嫌がる匂いを発する忌避剤などを設置した方が、より効果的に侵入を防止できます。
※参考 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構「鳥の“帰巣本能”を解明する新たな手掛かりを発見~磁場に応じて機能するタンパク質複合体の性質を明らかに~」
https://www.qst.go.jp/site/press/20220511.html
3つ目は、ベランダで超音波を発生させる方法です。
鳩よけ対策グッズの中には、鳥類にのみ聞こえる超音波を発生させ、人には影響を与えず、鳩を追い払えると宣伝している製品があります。しかし、製品価格が非常に高価なことや、超音波による効果には科学的根拠がないことから、鳩よけ対策としてはおすすめできません。
鳩による被害レベルが初期(休憩鳩・待機鳩)の場合、市販の鳩よけ対策グッズによって、鳩の侵入を防ぐことが可能です。
ここでは、おすすめの鳩よけ対策グッズを4つ紹介します。鳩よけ対策グッズを設置する際は、お住まいのアパートやマンションの許可を取ってから行うようにしてください。
1つ目の鳩よけ対策グッズは、テグス(ワイヤー)です。ベランダの手すりにテグスを設置すると、細いテグスが邪魔をして、鳩が手すりにとまりにくくなります。
またテグスやワイヤーは鳩の目からは見えません。そのため、手すりにとまろうとした鳩に不快感を与え、ベランダが「安全な場所」だと認識させない効果も期待できます。
まだ被害レベルが初期の段階にあり、鳩がベランダの中にまで侵入してこない場合は、手すりにテグスやワイヤーを設置してみましょう。
鳩よけ対策グッズとして売られているテグスなら、フックやアームなど、取り付け用のキットが同梱されています。初めての方でも、簡単にテグスを設置することが可能です。
テグスを設置する際は、鳩よけ効果を高めるため、ぴんと張ることを意識しましょう。
2つ目の鳩よけ対策グッズは、スパイク(鳩用剣山)です。スパイクとは、文字どおり針山のようになったトゲ付きのマットで、針と接触した鳩に不快感を与えることを目的としています。針といっても、プラスチックなどのやわらかい素材でできており、鳩を傷付ける心配はありません。
スパイクは、テグス(ワイヤー)と同じようにベランダの手すりに設置する他、鳩が好む場所やよく見かける場所に設置することで、鳩を寄せ付けなくする効果が期待できます。例えば、窓際や室外機の裏、エコキュートの下、プランターの影などにスパイクを設置しておくと、鳩をピンポイントで退散させることが可能です。
スパイクが効果を発揮するのは、被害レベルで言うと初期から中期にかけてです。鳩がベランダの中に侵入しており、テグスやワイヤーだけでは十分に侵入を防げない場合にスパイクが役立ちます。
ただし、鳩がベランダに住み着き、巣作りを始める段階になると、スパイクを設置してもほとんど効果は期待できません。
3つ目の鳩よけ対策グッズは、鳥害対策用の忌避剤です。忌避剤とは、動物が不快に感じる特殊なニオイを発し、動物を傷付けることなく追い払う効果のある製品です。
鳩やカラスなど、野鳥に効果のある忌避剤も販売されており、鳩よけ対策に利用できます。鳥害対策用の忌避剤は、野鳥には効果を及ぼすものの、主成分には安全性の高い植物エキスなどが使われており、人間への健康被害はありません。
テグスやスパイクを設置する方法と違って、忌避剤は見た目がほとんど目立たないため、ベランダの景観を損ねないのが強みです。
忌避剤には、泡タイプ、ジェルタイプ、スプレータイプ、置くタイプや塗るタイプなど、さまざまな種類の製品があるため、利用目的に合わせて選びましょう。
忌避剤の種類 | 利用目的 |
泡タイプ | ベランダの床などに忌避剤の跡を残したくない場合に |
ジェルタイプ | 室外機の裏など、ピンポイントで鳩の侵入を防止したい場合に |
スプレータイプ | 忌避剤を手軽に吹き付けたい場合に |
置くタイプ | 長時間効果が持続し、ベランダ全体に効果のある忌避剤をお探しの場合に |
塗るタイプ | 小さい隙間など、忌避剤の設置が難しい場所に |
忌避剤の種類【泡タイプ】
利用目的
ベランダの床などに忌避剤の跡を残したくない場合に
忌避剤の種類【ジェルタイプ】
利用目的
室外機の裏など、ピンポイントで鳩の侵入を防止したい場合に
忌避剤の種類【スプレータイプ】
利用目的
忌避剤を手軽に吹き付けたい場合に
忌避剤の種類【置くタイプ】
利用目的
長時間効果が持続し、ベランダ全体に効果のある忌避剤をお探しの場合に
忌避剤の種類【塗るタイプ】
利用目的
小さい隙間など、忌避剤の設置が難しい場所に
4つ目の鳩よけ対策グッズは、鳩よけネット(防鳥ネット)です。鳩よけネットは、被害レベルが中期から後期に達しても、効果が得られる可能性のある数少ない製品の一つです。
ベランダに鳩よけネットを設置すれば、鳩が入り込めなくなるため、物理的に侵入を防止できます。しかし、少しでも隙間やたるみがあると侵入されるため、取り付けには注意が必要です。鳩よけネットの設置が不安な場合は、専門業者に依頼するとよいでしょう。
また鳩よけネットは、ベランダ全体を覆うため、建物の景観への影響が大きい製品です。管理組合の方針によっては、鳩よけネットの設置が認められない可能性もあります。
ベランダの鳩よけ対策は、鳩による被害が悪化する前に行うことが大切です。鳩が長時間ベランダに住み着き、巣作りを始めるようになると、自力での対策は困難になります。
鳩が飛来し始めた初期の段階なら、テグスやワイヤー、スパイク(鳩用剣山)、忌避剤などの鳩よけ対策グッズが有効です。鳩よけネット(防鳥ネット)であれば、中期の鳩よけ対策も可能ですが、建物の景観を損ねる恐れがあるため、お住まいのアパートやマンションによっては設置できないケースもあります。
自分で鳩よけ対策を行うのが難しいときは、「鳩よけ対策PRO」にお任せください。「鳩よけ対策PRO」では、鳩の習性を知り尽くした専門家が、鳩の侵入防止対策から巣の撤去、フンの清掃まで、徹底した鳩よけ対策を実施しています。365日年中無休でご相談を受け付けているため、まずはお気軽にお問い合わせください。
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