鳩よけコラム
倉庫や工場内での鳩対策にお困りの方も多いでしょう。
日本には野鳥であるキジバトと、伝書鳩などが野生化したドバトが広く生息しており、特に市街地ではドバトによる被害が多く見られます。
しかし、鳩は鳥獣保護管理法により保護されているため、許可なく捕獲したり、駆除したりできません。敷地内で巣を作られてしまっても、鳩を傷つけずに追い出す必要があります。
この記事では、工場・倉庫での鳩被害の事例や、効果的な鳩よけ対策、鳩を追い出すときの注意点を解説します。
工場や倉庫に鳩が住み着くと、以下のような被害が発生する可能性があります。
工場や倉庫で問題となりやすいのが、鳩のフンによる被害です。鳩のフンが商品に付着すると、外観が大きく損われるだけでなく、病原菌による汚染の原因にもなります。
食品や薬品など、商品の種類によっては廃棄せざるを得なくなることもあります。万が一、フンに気付かず出荷してしまった場合、顧客からのクレームにつながりかねません。
また工場では、商品だけでなく機械への影響も考えられます。例えば、製造ラインに羽毛やフンなどの異物が混入した場合、機械が停止したり、センサーの誤作動が発生したりする可能性があります。
特に工場は天井の梁に使われるH形鋼など、巣作りに適した場所が多いため、鳩を住み着かせないような対策が必要です。
鳩のフンに含まれる病原菌が原因となり、従業員の健康被害が発生する可能性があります。
厚生労働省の「動物由来感染症ハンドブック2024」によると、鳩やカラスなどの野鳥由来の感染症には、オウム病やクリプトコックス症などがあります。[注1]
動物由来感染症 | 症状 | 感染経路 |
オウム病 |
| インコ、オウム、ドバトなどの糞に含まれる菌を吸い込んだり、口移しでエサを与えることによっても感染する |
クリプトコックス症 |
| 鳩など鳥類のフンの内部で増え、感染源の一つになる |
オウム病 | |
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症状 |
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感染経路 | インコ、オウム、ドバトなどの糞に含まれる菌を吸い込んだり、口移しでエサを与えることによっても感染する |
クリプトコックス症 | |
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症状 |
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感染経路 | 鳩など鳥類のフンの内部で増え、感染源の一つになる |
特にオウム病は、ドバトが原因と考えられる集団感染が度々発生しており、工場や倉庫でも感染対策が必要です。
目に付く場所に鳩のフンがなくても、乾燥によってフンが粉末化し、病原菌が空気中に漂っている可能性があります。従業員の安全を守るためにも、鳩よけ対策に力を入れましょう。
[注1]厚生労働省「動物由来感染症ハンドブック2024」p6
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/pdf/handbook_2024.pdf
大量の鳩が敷地内で営巣した場合、景観の悪化を引き起こす可能性もあります。
特にドバトは、1匹や2匹で行動することが多いキジバトと異なり、群れで生活することがほとんどです。周辺に自然が多く、エサが豊富な場所では、一度に100羽以上の群れを作る例もあります。[注1]
工場や倉庫に鳩の群れが住み着くと、敷地内に羽毛やフンが散乱し、景観の悪化を招きます。またフンが原因となる悪臭や、害虫の発生、鳴き声による騒音被害なども問題です。周辺住民はもちろん、工場を訪れた顧客にとっても印象の低下は避けられないでしょう。
このように工場や倉庫では、鳩による深刻な被害が発生しています。敷地内に鳩が長期間滞在している場合は、放置せず速やかに鳩よけ対策を実施しましょう。
[注1]農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル【鳥類編】」p30
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/manyuaru/pdf/r5_tyourui.pdf
ここでは、屋上や出入口、開口部、換気口などの場所別に、工場・倉庫で鳩を追い出す方法を紹介します。
場所 | 鳩対策の例 |
屋上・屋根 |
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出入口・庇 |
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通路・開口部 |
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換気口・換気ダクト |
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屋上・屋根 | |
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鳩対策の例 |
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出入口・庇 | |
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鳩対策の例 |
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通路・開口部 | |
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鳩対策の例 |
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換気口・換気ダクト | |
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鳩対策の例 |
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鳩には、高い場所から安全を確認する習性があるため、屋上・屋根の鳩対策は欠かせません。屋上・屋根で有効な鳩対策は、忌避剤とバードワイヤーの2つです。
忌避剤とは、鳩が嫌がる成分を含む鳩対策用の薬剤のことです。鳩は学習能力が高く、忌避剤を散布すると味やにおいを繰り返し学習し、その場所を避けるようになります。忌避剤の効果範囲は限られるため、室外機の下側や貯水タンクの裏側など、狭いスペースに散布すると効果が期待できます。
一方、屋根や屋上パラペットなど、開けた場所の鳩対策には、バードワイヤーを設置すると良いでしょう。バードワイヤーは防鳥ワイヤーとも呼ばれ、手すりや縁などにワイヤーを張り、鳩が着地できないようにする製品です。
バードワイヤーには、微弱な電気を流すタイプの製品もあります。電気ショックを繰り返し与えることにより、鳩を寄せつけなくする効果が期待できるでしょう。
工場や倉庫の出入口は、商品の搬入・搬出のために開放されていることが多く、鳩の主要な侵入経路の一つです。庇の隙間に営巣するケースもあり、侵入対策が必要となります。
出入口・庇で有効な鳩対策は、忌避剤と防鳥ネットの2つです。庇の軒下にH形鋼が使われている場合は、フランジの部分に鳩が営巣する可能性があるため、忌避剤を散布すると良いでしょう。
なお、忌避剤には固形タイプやジェルタイプ、スプレータイプなどがあります。固形タイプは雨に弱いため、出入口などの屋外に設置する場合は注意が必要です。
スプレータイプ | 手軽に使えるが、効果が短いため小まめに散布する必要がある |
固形タイプ | 置いたり吊るしたりするだけで使えるが、雨に弱いため設置場所に注意する必要がある |
ジェルタイプ | 一度設置すると長時間効果が持続するが、周辺が汚れる可能性がある |
スプレータイプ | |
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手軽に使えるが、効果が短いため小まめに散布する必要がある |
固形タイプ | |
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置いたり吊るしたりするだけで使えるが、雨に弱いため設置場所に注意する必要がある |
ジェルタイプ | |
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一度設置すると長時間効果が持続するが、周辺が汚れる可能性がある |
一方、出入口から鳩が入ってくることが多い場合は、防鳥ネットの採用を検討しましょう。防鳥ネットは網目が細かく、鳩が通り抜けられないようになったネットです。防鳥ネットには、スムーズに開閉できるカーテンタイプの製品もあるため、出入口の全面をネットで覆っても通行の邪魔にはなりません。
窓やドアがなく、外と直接つながっている通路・開口部も、鳩が定期的に飛来するため対策を行いましょう。あまり人通りが多くない場所では、いつの間にか鳩が住み着き、営巣している場合もあります。
通路・開口部で有効な鳩対策は、防鳥ネットです。開口部全体を隙間なくネットで覆い、鳩の侵入経路を塞ぎましょう。ただし場所によっては、景観に悪影響を及ぼす可能性があります。また緊急時の避難経路となる場所には、消防法により防鳥ネットを設置できません。
なお、ジェルタイプの忌避剤も一定の効果が期待できますが、開口部が広い場合はにおいが薄れ、忌避効果が弱まるため注意しましょう。
外壁にある換気口や換気ダクトも、鳩が好む場所の一つです。特にフードカバーの部分は、鳩が内部に巣を作る可能性があります。ファンが停止している間に鳩がダクトを通り、建物内に侵入するケースもあるため、対策が必要です。
換気口・換気ダクトで有効な鳩対策には、剣山や忌避剤、防鳥ネットなどが挙げられます。剣山とは、スパイクとも呼ばれ、土台に剣状の突起が取り付けられた製品です。鋭いとげのような見た目をしていますが、材質や形状が工夫されており、基本的に鳩を傷つけることはありません。フードカバーの上部などにスパイクを設置することで、鳩が寄りつきにくくなります。
また換気口の内部に忌避剤を散布したり、ダクトの全面を防鳥ネットで覆ったりするのも良いでしょう。外部からの侵入経路を塞ぐことで、鳩が住み着くのを未然に防げます。
ここでは、工場や倉庫における鳩対策の注意点を3つ紹介します。
鳩をはじめとした野鳥は、鳥獣保護法により保護されています。自治体による許可がない場合、勝手に鳩を捕獲したり、駆除したりすることはできません。誤って鳩を殺傷した場合、罰則を受ける可能性があります。
鳩対策は捕獲・駆除ではなく、「追い出す」のが基本です。忌避剤やバードワイヤー、防鳥ネット、スパイクなどの製品を活用して、鳩に危害を加えずに被害を防止しましょう。
巣の撤去は、特別な許可なしに行えます。ただし、巣に卵またはヒナがいる場合、許可なく撤去すると鳥獣保護法違反となります。
巣を撤去する場合は、ヒナが巣立つのを待ってからにしましょう。鳩のヒナが卵から孵り、巣立つまでの期間の目安は約1カ月です。[注1]
また巣を撤去する際は、手袋やマスクをつけてから行いましょう。素手で作業を行うと、フンに含まれる病原菌などに感染する恐れがあります。
[注1]東京都環境局「野生鳥獣との接し方について」
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/birds/faq
鳩は強い帰巣本能を持つ生き物です。巣のある場所を自分の縄張りとして認識しているため、一度巣を作ると、追い払っても何度も帰ってきてしまいます。
鳩による被害を防ぐには、住み着く前に忌避剤などを散布し、寄りつかなくするようにする必要があります。鳩が長時間滞在すればするほど、追い出すのが難しくなるため、根気強く対策を続けることが大切です。
工場や倉庫では、鳩対策が欠かせません。鳩が敷地内に住み着いた場合、商品にフンが混入したり、フンに含まれる病原菌によって健康被害を引き起こしたりと、さまざまな被害をもたらす可能性があります。
鳩には強い帰巣本能があるため、完全に住み着く前に追い出し、寄りつかなくすることが大切です。特に屋上や出入口、開口部、換気口などは、鳩の侵入経路になる可能性があるため、しっかりと対策を行いましょう。
ただし、鳩は鳥獣保護法により保護されているため、許可なく捕獲したり、駆除したりすることはできません。自分で対策する場合は、忌避剤やバードワイヤー、防鳥ネット、スパイクなどを活用し、鳩を傷つけずに追い出す必要があります。
鳩対策をしても効果がない場合は、「鳩よけ対策PRO」にご相談ください。鳩の習性を知り尽くした専門家が、巣の撤去から鳩の飛来防止対策まで、徹底した鳩よけ対策を実施いたします。工場・倉庫はもちろん、公共施設や商業施設などの鳩対策も可能なため、まずはお気軽にお問い合わせください。
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